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…… 割れ物継ぎ ……

اَلسَّلامُ عَلَيْكُمْ

アッサラームアレイコム
 (あなたに平安を)


 日本の伝統工芸の一つに、 「金継ぎ」 と言われる、割れた陶磁器の修理方法(割れた箇所を漆で接着後、割れに沿って金で装飾)があります。

 「金継ぎ」 の代表的なものに、桃山時代から江戸時代初期にかけて活躍した本阿弥光悦の茶碗 「雪峯」 (畠山記念館収蔵)があります。


 カシュガルには、日本の 「金継ぎ」 のような工芸ではありませんが、つい最近まで家庭で使われる陶磁器製食器類を修理する仕事(割れた箇所を膠で接着後、コの字型釘で固定)がありました。

 ウイグルの生活が向上した証でしょうか、最近は割れた食器類をわざわざ修理してまで使うことはなく、また、以前修理した食器類を使うことも残して置くこともないようです。

 そんな理由で仕事が無くなってしまい、修理屋の小父さんの姿が見えなくなってしまいました。

 私が知っている修理屋は、カシュガルの中心地にあるエティガモスク前で仕事していた小父さんと、路地裏を回り各戸の前で仕事していた小父さんの2人です。

 昨年夏、妻が修理屋の小父さんをどこかで見かけたらしいのです。
 暖かくなって、もし修理屋の小父さんをどこかで見かけることがあれば、仕事ぶりをビデオ撮影させてもらいます。
 廃業していれば探し出してビデオ撮影に協力してもらうつもりでいます。
 いずれにせよ、修理屋の小父さんが健在でおられることを願っています。

 かつて、ウイグルの生活に密接に関わり合いのあった陶磁器製食器類修理業は、誰もが貧しかった頃の職業ですから、ウイグルの生活が豊かになりつつある今、廃れるのも時代の趨勢であるようです。

 バザールで廉価な気の利いた新品がいくらでも買えますので、貧乏くさくて格好悪い修理した食器類は、ゴミに棄てられる運命です。

 残念ながら、カシュガルでは継ぎ物の食器類に価値を見出せないようですが、その内、アンティークショップで高値取引されるのかも知れません。

 ウイグルの生活歴史文化品として博物館や資料館で展示・保存されることを望みます。

 ウイグルの生活文化が大きく変わる節目と思われる現在、古いからと言って簡単に反故にすることなく、貴重な文化遺産として保存や記録することをみんなで考えて欲しいのですが、理解してもらうには随分時間が掛かりそうです。




写真1: 仕事中の陶磁器食器修理屋 (85年)
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写真2: 割れた食器を修理してもらいに来た子ども達 (85年)
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写真3: 修理された大皿
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江上鶴也
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by oghuzkahan | 2007-03-25 01:24
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